火力発電の基礎⑥ 〜4つの状態変化〜
キーワード:等温変化、等圧変化、等積変化、断熱変化
難易度:★★★★☆(二種レベル)
等温変化とは?
それではいよいよ、理想気体の状態変化について考えていきましょう。
まずは『等温変化』です。
等温変化とは、温度Tを一定にしたまま他の状態(圧力p、体積V、エントロピーs)を変化させる状態変化のことを言います。
等圧変化とは?
次に『等圧変化』です。
等圧変化とは、圧力pを一定にしたまま他の状態(体積V、温度T、エントロピーs)を変化させる状態変化のことを言います。
圧力が一定なので、p-V線図は横軸に平行のグラフになります。
T-s線図については、前回導いた温度とエントロピーの式
を使います。
等圧変化なのでシャルルの法則
から、
が成り立つので、これを温度とエントロピーの式に代入すると、
となり、これをさらに変形させると、
となります。
この式について、左辺に状態1の変数を、右辺に状態2の変数を持ってくると、
となり、左辺と右辺が同じ形になっているので一定となります。
1/Aという定数で一定になるとすると、
という式が導かれます。
この式より、T-s線図は指数関数の形のグラフとなることがわかります。
等積変化とは?
次に『等積変化』です。
等積変化とは、体積Vを一定にしたまま他の状態(圧力p、温度T、エントロピーs)を変化させる状態変化のことを言います。
体積が一定なので、p-V線図は縦軸に平行のグラフになります。
T-s線図については、等圧変化と同様に前回導いた温度とエントロピーの式
を使います。
等積変化なのでV1 = V2となるため、右辺第2項はln (V2/V1) = 0となります。
したがって上の式は、
となり、これを変形させると、
となります。
この式について、左辺に状態1の変数を、右辺に状態2の変数を持ってくると、
となるので、等圧変化のときと同様、これを1/Bという定数と等しいとすると、
という式が導かれます。
つまりT-s線図も等圧変化と同様に指数関数の形のグラフとなります。
ただし、expの中の分母の値が等圧変化よりも小さくなるので、等圧変化よりもグラフの立ち上がりは急になります。
断熱変化(等エントロピー変化)とは?
最後に『断熱変化』です。
断熱変化はまたの名を等エントロピー変化とも言い、エントロピーsを一定にしたまま他の状態(圧力p、体積V、温度T)を変化させる状態変化のことを言います。
p-V線図については、前回導いた圧力・体積・温度の関係式
を用います。
熱力学第一法則の式
において、断熱変化なのでΔQ = 0を代入すると、
となります。
これに微小な内部エネルギーの変化の式と微小な仕事の式を代入すると、
となり、ΔT、ΔVを限りなくゼロに近づけると、
となるので、これを圧力・体積・温度の関係式に代入すると、
となります。
これを式変形すると、
となり、(C + R) / C = γとおいて式変形すると、
となります。
両辺を状態1から状態2まで積分すると、
となり、対数の外に出ているγを中に入れると、
となるため、最終的に以下のような関係式が導かれます。
つまり、圧力pと体積Vのγ乗は反比例の関係にあることが分かります。
等温変化と比べると、体積にγ乗がかかっている分だけ断熱変化の方がグラフの立ち下がりが急になります。
T-s線図はエントロピーsが一定なので、縦軸に平行のグラフになります。
以上の4つが理想気体における主な状態変化になります。
途中で複雑な計算がありましたが、もしもついていけなかったならば、以下のまとめのグラフの形を覚えてもらえれば全く問題ありません。
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