モーターが回転し続けるしくみとは
キーワード:反発力、吸引力、アンペールの法則、右ねじの法則、電磁石、モーターの原理
磁石について
磁石にはN極とS極があり、同じ極同士を近付けると反発し合い、違う極同士を近付けると引き寄せ合うことはご存知かと思います。
そして、同じ極同士を近付ければ近付けるほど、反発する力が強くなることも実体験で知っている人が多いと思います。
磁石からは 磁力の方向と強さを示す仮想的な線がN極からS極に向かって出ていると仮定されていて、これを磁束線と呼びます。
そして、同じ極同士を近付ければ近付けるほど、反発する力が強くなることも実体験で知っている人が多いと思います。
磁石からは 磁力の方向と強さを示す仮想的な線がN極からS極に向かって出ていると仮定されていて、これを磁束線と呼びます。
磁束線の向きが磁力の方向で、磁束線の密度が磁力の強さを表しています。
下図のように、2つの磁石の異なる極を近付けると、片方の磁石のN極から出た磁束線は他方の磁石のS極に吸い込まれて磁束線が結合します。
つまり2つの磁石は引き寄せ合うということです。
磁束線には決して交わらないという決まりがあるので、逆に2つの磁石の同じ極を近付けると、お互いの磁束線は大きく逸れようとします。
つまり2つの磁石は反発し合うということです。
磁石を使ってモーターを作れるか?
モーターとはご存知の通りずっと回転し続ける機械のことですが、これを磁石から発生する磁力を使って実現できないか、考えてみましょう。
下の絵のように、棒磁石の真ん中に軸を刺して回転軸とし、動かないようにがっちり固定されたU字磁石の中に入れてみます。
そうすると、下図上段のように最初はN極同士、S極同士で反発することで棒磁石は回り出します。
(当然U字磁石も反発力を受けますが、固定されているので動きません。)
少し回転すると今度は下図中段のようにN極とS極が吸い寄せ合うため、棒磁石は回り続けます。
しかし、さらに回転して下図下段のように棒磁石が真横になったところで、棒磁石はU字磁石に吸い寄せられた状態になり、回転に寄与する力をU字磁石から受けなくなって棒磁石の回転はストップしてしまいます。
これでは、回り続ける機械であるモーターは作れません。
でも、もし棒磁石かU字磁石のどちらかの磁極を180°回転するごとに入れ替えられれば、回り続けることができそうですね。
しかし磁極の入れ替えなんて可能なのでしょうか?
アンペールの法則
そもそも電気の勉強をしているのになんで磁石なんだ、電気と磁気は関係ないだろ!と思うかもしれません。
しかし、実は電気と磁気は密接に結びついています。
アンペールの法則という、電気と磁気を結びつける法則があります。
これは、電流の流れている導線の周りには磁界が発生するという法則です。
磁界とは、磁束線が存在する空間のことだと思ってください。
つまりアンペールの法則は、電流が流れるとそこから磁束線が発生すると言っているのです。
その磁束線の方向は、右ねじの法則から分かります。
電流の向きをネジの進む向きと考えると、その周りに発生する磁束線の向きは、ネジを回す方向、つまり右回りになるという法則です。
電流の流れる導線の周りには磁界が発生することは分かりました。
しかしその磁束線の形状は、磁石の磁束線とは似ても似つかないですね。
なんとかして磁石と同じ磁束線を作れないでしょうか。
電磁石をつくる
それでは試しに導線をぐるっと一回転させてみて、そこに電流を流すとどうなるでしょうか?
下図の左側のように、電流の流れているあらゆる場所で右ねじの法則を適用し、それを全部足し合わせると右側のようになります。
この磁束線に見覚えはありませんか?
そう、磁石の磁束線と同じ形状をしているのです。
当然磁石と同じ磁束線を発しているこのループは、磁石と同じように左側がN極、右側がS極のように振る舞い、他の磁石を近付けると反発し合ったり引き寄せ合ったりします。
このように電流を流すことでできる『磁石のようなもの』を電磁石と言います。
電磁石が素晴らしいのは、そのループに流す電流の向きを変えると発生する磁束線の向きも変わる、つまり磁石で言えば極性を入れ替えることができる点です。
この特性を利用すれば、モーターが出来上がるかも知れません!
電磁石を使ってモーターは作れる!
先ほど作ったループに電池をつなげれば、電磁石になります。
棒磁石かU字磁石をその電磁石と置き換え、半周回ったら電池をつなぎ変えれば極性が入れ替わるので、回転が継続します。
つまりモーターの完成です!
意外かも知れませんが、モーターの仕組みの基本はこれだけです。
電池のつなぎ変えはどうやってやるんだろう?と疑問に思うかもしれませんが、それはのちほど『機械』の分野で詳細に説明するので、今は概念だけなんとなくご理解いただければ大丈夫です。
基本が簡単だからこそ、それを実現する様々な形、つまりいろいろな種類のモーターが存在し、用途によって使い分けられているのです。
そのあたりの話も、今後『機械』の分野の解説で話そうと思います。
ちなみにモーターのことを電気の世界では『電動機』と呼びます。
電気によってできる電磁石を利用して動いているから電動機です。
まとめ
①磁石:
同極性 ⇒ 反発力発生
異極性 ⇒ 吸引力発生
②アンペールの法則:
電流の周りに磁界発生
③電磁石:
ループに電流を流す
⇒ 棒磁石と同形状の磁束線発生
⇒ 電磁石完成
④電磁石のメリット:
電流の向きを変えると極性も変わる。
⑤モーターの原理:
電磁石は極性変更可能
⇒ 反発力・吸引力を交互に利用
⇒ 永続的な回転発生!
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