発電機が電気を起こすしくみとは
キーワード:ファラデーの法則、磁束密度、磁束、発電機の原理
ファラデーの法則
前回説明したアンペールの法則は、電流から磁界が発生するという法則でした。
しかし『電気と磁気は密接に結びついている』と説明したくらいですから、逆に磁気から電気が発生する法則もありそうな気がしませんか?
それがあるんです。
ファラデーの法則といって、磁界の中に導線のループを置いたとき、そのループには磁束の時間変化に比例した大きさの誘導起電力(電圧)が発生するという法則です。
この説明だけではワケが分からないと思いますので、詳細に説明します。
磁束密度とは?
『磁束の時間変化に比例』と言っても、まず磁束が分からないと思います。
磁束の前にまずは磁束密度について説明します。
磁束密度とは単位面積(1m^2)を通過する磁束線の本数のことです。
つまり、磁束線の密度が高ければ磁力が強いという話は以前しましたが、言い換えれば磁束密度が大きいと磁力が強いと言えます。
また、磁束密度はベクトル量なので、大きさ以外に向きがあります。
向きは当然磁束線の向きと同じです。
ということは、ある点の磁束密度とは、その位置における磁力の強さと向きを表す量であるということになります。
これまでは、磁束線を見て視覚的に磁力の強い場所や弱い場所は分かったものの、その強さの値までは具体的に分かりませんでした。
しかし磁束密度という量を導入することで、具体的な強さまで計算できるようになったということです。
磁束とは?
磁力の強弱と向きを視覚的にしか表せない磁束線を、具体的な大きさと向きを持った磁束密度というベクトル量に置き換えることで、具体的にその強さを計算できるようになりました。
そこで次は磁束についてです。
磁束密度とは『単位面積あたりの』磁束線の本数と説明しました。
それでは、前回の記事に書いたようなループの内側を通る磁束線の本数は何本でしょうか?
磁束密度の大きさをB[T]とし、面積をS[m^2]とすれば、その面を貫く磁束線の本数はBとSの掛け算で求まりますよね。
この、ある面積を通過する磁束線の本数こそが磁束なのです。
しかし、ちょっと考えてみてください。
そのループの面が磁束線に対して傾いていたら、ループの内側には本当にΦ=BSの磁束が通過しているのでしょうか。
磁束の立場に立ってループを見ると、面積は傾いていないときよりも小さく見えるはずです。
例えば図のようにループが45°傾いたとしたら、横の長さaはそのままで縦の長さbが1/√2(=0.7倍)になるので、面積も0.7倍になります。
そうすると、磁束密度は変わらず面積が0.7倍になるため、磁束は0.7倍になります。
つまり、回転すると磁束が変化するということになります。
もう一度、ファラデーの法則
それではもう一度、ファラデーの法則について考えましょう。
『磁束の時間変化に比例した大きさの誘導起電力が発生する』ということでしたが、上述した通りループを貫く磁束は時々刻々と変化していることが分かりました。
つまりこのループには誘導起電力が発生します。
その誘導起電力の向きですが、磁束は変化することを嫌うため、変化を打ち消すような磁束を追加で発生させる電流がループに流れるように、誘導起電力が発生します。
具体的には、下図のように、磁束が減少してくると磁束を増やすような電流が流れるように誘導起電力が発生するということです。
逆に磁束が増加してくると、磁束を減らすように誘導起電力が発生します。
これがファラデーの法則です。
ループをくるくる回すだけで電圧を作れるのです!
まとめ
①磁束密度B(T・テスラ or Wb/m^2):
単位面積(1m^2)を通過する磁束線の本数
②磁束Φ(Wb・ウェーバー):
ある面積を通過する磁束線の本数
③磁束密度Bと面積Sの角度:
磁束密度と面積の向きが直角から角度θ[rad]ずれている
⇒ Φ=BScosθ
③ファラデーの法則:
ループを貫く磁束Φが変化
⇒ 時間変化に比例した誘導起電力発生
④発電機の原理:
モーターの回転軸を回す
⇒ 端子に電圧発生!
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